心理的な罠

ダブルバインドについて,ここ数年ことあるごとに考えてきた.

ダブルバインドとは,人に二つの矛盾する命令をすることで執着させストレスを与える心理的な罠の一つである.

ダブルバインドはモラハラ行為として普段の生活でも観察できる.

わかりやすく一例を挙げよう.

仮に貴方の恋人がメンヘラちゃんで,機嫌が悪くなると常習的に自傷行為をするような人物であるとする.

その恋人の機嫌が悪くなり,自傷行為をほのめかすとき貴方は次の様に葛藤する.

  1. 恋人を助けたいので,一刻も早く止めてあげたい
  2. 恋人を助けることで,自傷行為を今以上に助長させたくない

この状況に陥ると貴方の思考と行動は停止し,精神的に強いストレスがかかる.

強いストレスを伴う経験は記憶の強化に繋がる.

貴方は恋人への執着を深める.

その結果,貴方の無意識は恋人に支配され,恋人のいいなりになってしまう…

このようなコミュニケーションによる心理的な罠をダブルバインドとよぶ.

日常に潜むトラウマ

私は,ダブルバインドこそが日常に潜むトラウマの原因であると考えている.

先のメンヘラちゃんは,どのような環境で育ったのだろうか.

恋人への愛情表現が,その人が生まれ育った家庭環境での愛情表現と近しいものであると想定する.

ダブルバインドに陥らせるコミュニケーションが,家庭内での愛情表現として行われると次の様になる.

例:遊びに夢中で家に帰りたがらない子ども

親「そろそろ帰るよ」

子ども「いやだ!もっと遊びたい!」

親「じゃあ勝手にしなさい!先に帰るよ!バイバイ!」

親(子どものことは愛しているが,もう少し私の思い通りに動いて欲しい!)

子どもは次の様に葛藤する.

  1. 遊びを続けたい
  2. 遊びを続けていると,見捨てられる

このコミュニケーションは子どもにとってみると親から「私の言うことに従わないと,あなたを見捨てるよ!」と言われているのと同じことである.

ダブルバインドに陥ると子どもは強い不安と恐怖を覚える.

場合によっては精神的に強いストレスがかかり,トラウマの原因となる.

健全なコミュニケーション

言葉でシンプルに要求を伝え合うのが,健全なコミュニケーションである.

先の子どもの場合だと,子どもの気持ちに寄り添うコミュニケーションがまず必要である.

そして,帰る必要のある理由を優しい口調で伝えて,子どもの希望を聞いてあげながら「あと3回,滑り台であそんだらおしまいにしよ?」などと選択肢を与え,譲歩しあうとよいだろう.

強いストレスを与える言動は,この場合は明らかに間違いである.

冒頭の恋人の例でも,大切にしたいのであれば恋人の気持ちに寄り添うコミュニケーションが必要である.

自傷行為を助長させたくないという理由で無視をするのは恋人の心を深く傷つけるだろう.

恋人にも自傷行為をほのめかすのではなく,わからないから言葉にして欲しいと伝えるべきだ.

結び

ダブルバインドへの適切な対処については状況によって異なるので,わからないことが多い.

これからも引き続き考えていきたいと思う.